
犬の皮膚トラブルは非常に多く、「かゆい」「赤い」「舐める」「脱毛する」といった症状を繰り返すことがあります。
特に犬アトピー性皮膚炎(CAD:Canine Atopic Dermatitis)は、良くなったり悪くなったりを繰り返しやすい慢性疾患です。
「薬を飲むと良くなるけれど、やめるとまた悪化する」
「シャンプーや薬を色々試したけれど再発を繰り返している」
「ずっと薬を飲み続けるのが不安」
このようなお悩みを抱えている飼い主さまも少なくありません。
当院では、症状が出るたびにその場しのぎで治療するのではなく、再発を予防しながら良好な状態を維持する「プロアクティブ療法」を重視しています。
このような症状はありませんか?
・体をよく掻いている
・耳や足先をしきりに舐める
・お腹や脇が赤い
・脱毛を繰り返している
・皮膚がベタつく、におう
・薬をやめるとすぐ悪化する
・季節によって悪化を繰り返す
・何年も皮膚病が治らない
皮膚病は、見た目が似ていても原因や悪化因子が異なります。
かゆみがあるからアトピー、赤いからアレルギー、とすぐに決めつけるのではなく、感染、寄生虫、食事、体質、生活環境などを整理しながら考えることが大切です。
犬アトピー性皮膚炎(CAD)とは
犬アトピー性皮膚炎(CAD)は、体質的なアレルギー素因が関与する慢性の皮膚疾患です。
若齢から発症することが多く、顔、耳、足先、脇、お腹などにかゆみや赤みが出やすい傾向があります。
一時的に炎症を抑えるだけでは、治療をやめた後に再発を繰り返してしまうことがあります。
そのため、現在の炎症をコントロールするだけでなく、「悪化しにくい状態を維持する」ことが重要になります。
治療をやめると再発していませんか?
犬アトピー性皮膚炎では、症状が強い時期に治療を行うと、一時的に皮膚の状態が良くなることがあります。
しかし、見た目が良くなった時点で治療を完全に中止すると、しばらくして再びかゆみや赤みが出てしまうことがあります。
このように、
「悪くなったら治療する」
「良くなったら全部やめる」
「また悪くなったら再開する」
という管理を繰り返すと、飼い主さまもわんちゃんも疲れてしまいます。
当院では、症状が落ち着いた後も、再発を防ぐための維持管理を大切にしています。
当院で重視しているプロアクティブ療法
プロアクティブ療法とは、皮膚の状態が良くなった後も、再発しやすい部位に対して低頻度の外用療法やスキンケアを続け、悪化を予防する考え方です。
皮膚症状が出てから治療するのではなく、症状が落ち着いている時期にも最低限のケアを行い、良い状態を長く維持することを目指します。
当院では、その子の状態に合わせて、
・外用薬
・スキンケア
・シャンプー療法
・保湿ケア
・内服薬
・注射薬
・食事管理
・感染対策
などを組み合わせながら、無理なく続けられる維持管理を考えます。
目標は「薬をゼロにすること」ではありません。
人の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」によると、治療目標は以下の通りです。
「治療の最終目標(ゴール)は,症状がないか,あっても軽微で,日常生活に支障がなく,薬物療法もあまり必要としない状態に到達し,それを維持することである.」
つまり、軽微な症状があって、多少薬を使っているとしても、それはもう治療のゴールなのです。これは人のガイドラインですが、動物の場合も同じだと思います。
大切なのは、
・かゆみをできるだけ少なくする
・皮膚の炎症を長く抑える
・再発の回数を減らす
・薬の量や頻度をできるだけ適切にする
・わんちゃんとご家族が快適に生活できる状態を保つ
ことです。
その子にとって無理なく続けられる管理方法を一緒に考えていきます。
犬アトピー性皮膚炎の治療目標は、プロアクティブ療法によって痒みが軽微で日常生活に支障がない状態を維持することだと考えています。
獣医師と飼い主さまの間で、目標を共有することが大切です。
当院で確認していること
皮膚トラブルで受診された場合、現在の症状だけでなく、これまでの経過や治療歴も重要です。
当院では、主に以下のような点を確認します。
・いつから症状があるか
・どの部位をかゆがるか
・季節性があるか
・耳や足先の症状があるか
・皮膚感染があるか
・ノミ・マダニ予防の状況
・食事内容
・これまで使った薬と反応
・治療をやめた後の再発の仕方
・シャンプーやスキンケアの内容
必要に応じて、皮膚検査、耳垢検査、細菌やマラセチアの確認、食事管理の見直しなどを行います。
感染をコントロールすることも大切です
犬アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が低下し、細菌やマラセチアによる二次感染を起こしやすくなることがあります。
感染がある状態では、かゆみや赤みが強くなり、アトピー性皮膚炎そのものが悪化して見えることがあります。
そのため、かゆみ止めだけでなく、感染の有無を確認し、必要に応じて抗菌薬、抗真菌薬、外用薬、シャンプー療法などを組み合わせることがあります。
再発を繰り返してお困りの方へ
犬アトピー性皮膚炎は、完全に「治して終わり」というよりも、慢性疾患として良好な状態を維持していく考え方が重要になることがあります。
治療をやめるたびに悪化してしまう場合や、何度も皮膚症状を繰り返している場合には、現在の治療が悪いというよりも、「維持管理の方法」が合っていない可能性があります。
当院では、再発を繰り返している子に対して、その子に合った維持管理方法を一緒に考えていきます。
「皮膚病がなかなか治らない」
「薬をやめるとすぐ悪くなる」
「長く付き合っていく方法を相談したい」
「できるだけ再発を減らしたい」
このような場合は、一度ご相談ください。
症状が出た時だけでなく、良い状態をどう維持するかまで含めて、皮膚トラブルの管理を考えていきます。
