超低脂肪 手作り食/療法食



食事管理はペットフードを与えるのが圧倒的に手軽です。最近はドライフードや缶詰/パウチのウェットフードに加えて、フレッシュフードという手作りに近い総合栄養食も登場しているようでして、栄養基準を満たしているものを与えるのが安心だと思います。
しかし、人が食べるものと同等の品質の生鮮食品を、犬や猫の栄養要求を満たすように与えることができるのであれば、それが最善ではありますよね。
当院の患者さんでも手作りしている方がいらっしゃいます。凄いです。尊敬します。

AAFCO(全米飼料検査官協会)の基準を満たすように飼い主様ご自身で手作りできるのであればそれで問題ないのですが、普通はなかなか難しいですし、また、特に問題となるのは食事を低脂肪に保ちたいわんちゃんの場合です。
慢性下痢を起こす蛋白喪失性腸症の中でも腸リンパ管拡張症の場合、リンパ管圧の上昇を抑えるために食事を低脂肪にする必要があります。
療法食として販売されている低脂肪食では改善が乏しくても、手作りで超低脂肪にすることで状態が良くなる子もいます。
当院では治療導入期には手作り超低脂肪食をおすすめしております。これはわんちゃんの栄養要求の基準を満たさないほどの超低脂肪です。必須脂肪酸なビタミン・ミネラルが不足するため長期給与は望ましくありません。
しかし、AAFCOの基準を満たすフードにこだわって下痢と栄養不良状態が続くのでは本末転倒です。フードの基準は動物を健康な状態に保つための手段であって目的になってはいけません。基準を満たすフードを与えて酷い下痢が続いてやせ細るよりも、基準を満たしていなくても正常便が出て健康的な体格に保てる方が良いのは自明です。
数字や正しさを追うのではなく、動物の状態をみてあげることが大切です。

そうはいっても手軽なのは療法食です。
AAFCOの基準を満たす療法食で最も低脂肪なのはピュリナのEN低脂肪で、脂肪分は15-16%です。
まずはこれを試すという選択肢もありますが、この療法食で改善が乏しい場合、次の一手を低アレルギー食にするのか、手作り超低脂肪食を試すのか迷うことになるので、当院ではまず手作り超低脂肪食からはじめます。その反応が悪い場合は低アレルギー食をおすすめしています。

手作り超低脂肪食であれば調子が良いが、AAFCOの基準を満たす療法食への移行が上手く行かないという場合、以下の2つの方法をご提案しています。
①栄養学の専門家にレシピを作ってもらう
②AAFCOの基準未満の超低脂肪療法食を使用(併用)

①栄養学の専門家にレシピをつくってもらう
以前はBalanceITというアメリカのwebサイトを使っていたのですが、私は英語があまり得意ではなく、サイトがリニューアルされて以降は使い方がよくわからなくなってしまいました。英語が得意な方には良いと思います。獣医内科専門医が推奨しています。
しかし、「日本語で相談したい!」という方は日本の専門家に相談しましょう。DC one dishさんに相談されるのが良いと思います。
https://dconedish.com/
生鮮食品のみでAAFCOの基準を満たす食事を作ることはほぼ不可能といっても良いくらい難しいため、BalanceITもDC one dishもそれぞれのオリジナルサプリメントを使用する前提のレシピとなります。
人の医療では栄養士さんがいらっしゃいますよね。食事指導ができるお医者さんは少ないんじゃないでしょうか。獣医療域でも多くの臨床獣医師は栄養学が苦手だと思います。なぜならペットフードがあるからです。病気に合わせた療法食もペットフードが各社さまざま発売されておりますので、手作りのノウハウはほとんどないことが多いのではないかと思います。少なくとも私の栄養学的知識は乏しいです。長期に与え続ける手作りレシピは専門家に頼るのが安心です。

②AAFCOの基準未満の超低脂肪療法食を使用(併用)
Rescureという超低脂肪の療法食パウチが利用できます。
https://nst-f.com/rescure/
脂質・ナトリウム・銅以外はAAFCOの基準を満たしています。AAFCOの基準までナトリウムや脂質を追加する場合にどれくらい必要なのかは、上記の公式サイトで塩分やオリーブオイルの添加量として計算できます。
温めて与えるだけなので、手作りに比べると非常に簡単です。

慢性下痢では、お薬以外にこういった食事療法、論文発表されているエビデンスのある整腸剤の使用、食物繊維を与えるなどを行う場合があります。
なかなか良くならない慢性下痢のセカンドオピニオンをご希望の飼い主さまで、当院に来院するのが距離的に難しい場合は、オンライン相談のご利用をご検討ください。