混合ワクチンは生活環境に応じて選びましょう~猫編~

猫ちゃんのワクチンもわんちゃん同様に複数種類ありますので、生活環境に応じて選んで行きましょう。

トップ写真は本稿執筆現在当院に在庫している猫用ワクチンです。
どんな環境の猫ちゃんに対してもしっかり予防しましょうとされている3種混合ワクチンが2種類と、FIV(猫エイズウィルス)ワクチンです。
FIV(猫エイズウィルス)ワクチンは販売終了が決まっておりまして、今後も接種しつづけることはできなくなってしまいました。
当院に在庫しているものは来月までの使用期限なので、ご希望の場合は7月いっぱいまでにご来院いただければ最後の接種ができます。

写真にない主なワクチンとしてはFeLV(猫白血病ウィルス)を予防するワクチンがあります。
開業時には購入したのですが、ほぼ使用されないまま廃棄処分となってしまいましたので新規に購入はしておりません。ご希望があれば取り寄せることが可能です。
FeLV(猫白血病ウィルス)やFIV(猫エイズウィルス)に感染するのは、同じお皿で食事を摂ったり噛んだり噛まれたりするなど、濃厚接触した場合に限られます。よってお家の中だけで飼育している猫ちゃんには必要ありません。
自由に外に出る猫ちゃんはFeLVワクチンの利用を検討しましょう。

猫ちゃんもわんちゃんと同じで、コアワクチンは3年以上の防御能持続が期待できます。
ただ、個体差がかなりあるので、単純に3年ごとの接種は推奨しておりません。抗体価測定を行い、その数値に応じて次回のワクチン接種や抗体価測定の再検査日程を検討しています。
猫ちゃんはわんちゃんとは違い、トリミングやペットホテルをご利用されることが少ないので、1年以内のワクチン接種証明が必要になることはあまりないと思います。また、猫の場合は(ワクチン)接種部位肉腫と言って、ごくまれに注射した部位に悪性腫瘍が生じることがあります。重大な副作用のリスクがありますので、ワクチン接種は必要最小限にしたいところです。

どのメーカーのワクチンが良いのかは何とも言えませんが、開業前の勤務先での猫ちゃんのワクチン抗体価測定では、抗体価の上昇があまり良くない印象でした。
「ほとんどの場合はガイドライン通りに3年ごとの接種で大丈夫だな」と思える結果になると思いきや、全然そんなことがなかったので、開業してからは第一選択とするワクチンを変えました。わんちゃんは割と良い成績だったので泰一選択とするワクチンは同じものにしました。その辺を自由に選べるのが個人開業の良いところです。
使用するワクチンメーカーの変更で、抗体価の成績が良くなるのか変わらないのか悪くなるのかはやってみないとわからないですが、様々な情報や経験を踏まえた上で第一選択とするワクチンを決めております。

長々と書きましたが、室内飼育猫での当院のワクチン推奨プロトコルは以下の通りとなります。
①1年目
生後8週齢以上から3-4週間隔で3種混合ワクチンを2回接種
②2年目
1年目の2回目接種から1年後に3種混合ワクチンを接種
③3年目
上記②の1年後に採血して抗体価を測定
抗体価の数値によって3年目にもワクチン接種を行うか、1-3年後にワクチン接種or抗体価測定を行うか検討する

基本的には上記を推奨しています。
外に出る猫ちゃんは別途相談しましょう。
また、猫ちゃんのワクチンは前述の接種部位肉腫のリスクがあるため、基本的に後肢になるべく肢端に近い場所に接種します。これは最悪切り落とせる部位に注射するということです。

今月末にはうちのぽんちゃんにも2年目のワクチンを打つ予定です。