冬も痒いなら○○アレルギーかも

今季はだいぶ暖かいですが、それでも朝晩は冷え込むようになってきましたね。
犬アトピー性皮膚炎のわんちゃんたちにとっては、症状が軽快して過ごしやすい季節になっていると思います。

気温が高い方が細菌やマラセチア菌が繁殖しやすいですし、アレルゲンが多いので症状が悪化する傾向にあります。
人の花粉症のお薬のwebページなどに季節による花粉の飛散状況の表があります。
https://www.allegra.jp/hayfever/calendar.html
こういうのを見ると、真冬でもゼロではないですが、やはり1-2月はアレルゲンが相対的に少なくなるようです。
イエダニなどの節足動物に関しても、夏の方が量が増えるようです。
https://www.kyuden-ent.com/blog/2019/09/post-55-697328.html

つまりは、環境抗原に対する過剰反応である犬アトピー性皮膚炎であれば、真冬は症状がかなり改善するはずです。
ただ、冬は乾燥しやすいですから、皮膚が荒れてしまうとアレルゲンが侵入しやすくなります。しっかり保湿はしましょうね。
痒みが低減する季節になって良かった良かった。ではまた春にお会いしましょう。

・・・というわけにはいかない場合があります。

あんまり良くなっていないですか?今年は気温が高めだから、まだ冬の恩恵が受けられないということもあるかもしれません。
でも、年が明けてもやっぱり変わらず痒いなら、環境抗原のみが原因ではないかもしれません。
通年同じように曝露される痒みの原因となるもの、それは食べ物です!
タイトルの○○アレルギーとは、食物アレルギーです。

真冬でも夏場と同じように痒い、もしくは多少は良いけれどもあまり変わらないという場合には食物アレルギーを疑います。
食物アレルギーの診断は、食物アレルギーを起こさない内容の食事治療反応を見る「除去食試験」がゴールドスタンダードです。
ただ、どんな症例にも100%食物アレルギーを起こさないフードなんてないですし、一定期間に口にするものは除去食と水以外は一切禁止という非常に敷居の高い検査なので、当院では血液検査(リンパ球反応検査)を行うことが多いです。
この血液検査の感度/特異度が100%だなんて思っていないですし、検査できる食物抗原は限られておりますが、検査の限界をしっかり理解した上で使うのであれば大変有用な検査だと考えています。
もちろん、実施可能な環境であれば除去食試験を行っていただくこともあります。

真冬でも夏場とそんなに変わらず痒いな、という場合には食物アレルギーを疑って検査・治療を検討しましょう。
気温の低下とともに症状が改善する場合は、積極的にお薬の減量・休薬を検討しましょう。ただ、皮膚の炎症が残っているのに薬を減らすと悪化しますので、しっかりかかりつけの獣医師に相談しましょう。