現代の糖尿病管理 FreeStyleリブレ

犬猫にも糖尿病があります。
すごく良く食べて、水もたくさん飲んでいるけれども痩せていくというのが典型的な症状です。
飲水量と尿量が異常に増えますが、しばらくの間は動物が元気なので受診が遅れがちです。しかし、経過が長いと重症化することがあります。
重症化すると昏睡から死に至ることもありますので、犬で1日あたり100ml/kg以上、猫で50ml/kg以上の飲水量の場合は早めに動物病院を受診しましょう。糖尿病ではなかったとしても腎臓病や副腎の病気、腫瘍性疾患などの可能性があります。

かつての糖尿病治療は、飼い主様が早期発見して受診してくれたとしても初期治療がなかなか大変でした。
数日の入院か連日の半日お預かり等で2時間おきを目安に血糖値を測定し、適切なインスリンの種類と接種量の調整が必要でした。
しかし、入院下では動物の興奮や緊張により血糖値が高めになってしまったり、食事を食べてくれないなどの問題が生じることが多く、適切な接種量の決定までは何度も試行錯誤が必要でした。

しかし、現在はFreeStyleリブレがあります!ご自身やご家族が糖尿病の場合には既にお馴染みのツールだと思います。本来は適応外なのでしょうけれども動物にも使用できます。
FreeStyleリブレは、人の上腕背側にセンサーをつけて、そのまま入浴やプールでの水泳等も可能で24時間グルコース値(間質液中のグルコース値なので厳密には血糖値と異なりますが血糖値を反映します)を測定してくれるという、糖尿病管理に革命をもたらしたデバイスです。技術の進化はすごいです。
Amazon等で普通に買えますので、興味がある方はご自身でお試しいただけます。まだ物珍しかった数年前は糖尿病ではないライターさんが体験記をweb記事にしたりしていました。
https://manualog.net/freestyle-libre-5542
ただ、動物に飼い主様がつけるのは難しいと思います。毛刈りをしてアルコールで脱脂をして、更にそれぞれの動物病院が接着剤や被膜スプレーなどの前処置で工夫をして装着しています。そうでないとなかなかしっかりくっついてくれないのです。

これを装着することで、糖尿病でも状態が良好な早期発見の動物であれば入院が不要になります。
ご自宅で飼い主様にインスリン接種をしていただき、LINEやメールでインスリンの種類・接種量、食事の種類・量などを獣医師とやり取りして良好なコントロールを模索します。
途中でエラーが出てしまうことも多いですが、最長14日間グルコース値を測定し続けてくれます。
グルコース値の変動はトップ画像のように確認ができます。
連日の飼い主様とのやり取りがストレスになってしまう獣医師もいるみたいですが、私は状態がわからない方が心配なのでリブレを使いたい派です。休日でも1日に1-2回のやり取りなので全く問題ありません。

かつては、入院下での血糖値変動は非常に良好なのに退院させると全然上手く行かない、ということが珍しくありませんでした。FreeStyleリブレなら最初からご自宅環境で試行錯誤ができますのでそのようなことは起こり得ません。
動物では人のように糖尿病に合併症としての動脈硬化性疾患や腎臓病などがほとんどないため、厳密な血糖コントロールは必要ありません。ある程度コントロールできればリブレセンサーの交換を繰り返してずっと装着し続けるという必要はないと思います。

愛犬愛猫の糖尿病治療が上手く行っていないのでFreeStyleリブレを試したいという飼い主様がいらっしゃいましたら、はら動物病院までご相談ください。

※センベルゴで糖尿病治療を行う猫ちゃんは、血糖値だけ見ても状態が判断できないためFreeStyleリブレを装着して再診は14日後という運用はできません。3-4日後、7日後、14日後の再診が必須です。
※※人ではFreeStyleリブレ2が主流になっていますが、当院で使用した限りではエラーが多い印象なので、手に入らなくなるまでは初代の方をメインに使う予定です。