治らない皮膚病 皮膚病理検査のすすめ
今年の夏は暑いですね。
日本の夏の高温多湿状態では、皮膚病が悪化しやすいです。
難治性のひどい皮膚病で困っているという飼い主様は少なくないと思います。
獣医療にも専門医制度があり、皮膚科の専門医という人たちもいます。
街の動物病院での治療ではどうしてもうまく行かないという場合は、専門医への受診をおすすめすることもあります。
当院の場合は、江東区の「犬と猫の皮膚科」をご紹介することがあります。
ただ、皮膚病ってすぐは治らないのです。特に難治性の皮膚疾患の場合、決まりきった治療では上手くいかないことも多いため、専門医であっても治療反応を見ながら薬やシャンプーなどを増やしたり変えたりする必要があります。
何が言いたいかというと、しばらく通院しなければいけないわけです。
江東区なので、千葉県からはわりと近いと言えば近いですが、おゆみ野からだと結構遠いですよね。毎週通院と言われることはあまりないと思いますが、早くて2週間後とか、一般的には1か月後に再診というのがしばらく続くわけです。
なかなか難しいな、ということもあると思います。
そんな場合に、治療方針を立てる上で大きな助けになり、一次診療でも可能な検査として「皮膚病理検査」があります。
皮膚を一部小さく切り取って、皮膚科専門医の先生に見ていただき、皮膚の3次元的構造変化から診断や治療方針を立てることができます。
下の写真の生検トレパン(写真は4mmサイズですが、基本的には6mmで採材します。)を用いて皮膚の一部を切り取り、2-3糸縫合します。
皮膚を切り取るわけですから、もちろん麻酔が必要です。
動物の性格にもよりますが、顔付近以外であれば局所麻酔で可能なことが多いです。
その切り取った組織を、先ほどの「犬と猫の皮膚科」の皮膚科専門医の先生に見ていただきます。皮膚科臨床もされている専門医の先生に病理診断をお願いするので、間接的に専門医診療を受けているような形になります。
もちろん腫瘍や免疫異常を疑うような皮膚疾患では病理検査が必須ですが、慢性的なひどい皮膚病で今までの治療では全然良くならない、という場合にも皮膚病理検査で治療方針が立てられるかもしれません。
良くならない慢性皮膚疾患で困っているけれども、専門医までは遠くて受診・通院が難しいなという飼い主様は、皮膚病理検査を行うかどうかを含めて検査・治療に関して、はら動物病院までご相談ください。