目薬で誤食したものを吐かせる薬 クレボル

催吐点眼剤って何に使うの?
動物は食べてはいけないものを食べてしまうことがあります。
消化できなくてかつ腸を通らないくらい大きい異物、動物にとっては毒性が強く出てしまう可能性がある飼い主さんのお薬など。
食べてすぐでまだ胃にあれば吐けば出てくるかもしれません。
人工的に吐かせる処置を催吐処置と言います。
目薬をさすだけで吐かせることができますよ、というのが2025年12月に発売された新薬クレボルです。
適応は犬のみです。猫には適応がありませんし、使っても効きません。
CTZ(科学受容器引き金帯)のドパミン受容体を刺激することで嘔吐中枢に伝わり、嘔吐が誘発されるのがクレボルの作用機序です。猫はCTZにドパミン受容体が少ないので効きません。
画期的な点
獣医師一人で対応できることが大変すばらしいです。
これまでの一般的な催吐法は、静脈内注射による催吐処置です。
よほど大人しい犬でない限り、動物看護士などもう一人スタッフがいないと処置が困難でした。
点眼するだけなら、ほとんどの犬で獣医師一人で処置が可能になります。
適応外/慎重投与など
・点眼薬なので眼科疾患がある場合には使えません
・妊娠/授乳期は適応外です
・中枢を刺激するので発作など中枢神経障害がある場合にも使えません。
・1.9kg未満、生後4.5ヶ月未満、高齢犬に対する安全性は未確認です。
・心拍数増加や血圧低下を引き起こす可能性があるので循環器疾患を有する犬には慎重投与。
・肝機能障害がある犬への安全性は未確認
デメリット
当院ではまだ使用経験がありませんが、国内発売以前から聞く話として(今までも輸入して使用されていた先生も多かった)、嘔吐が長引くということがあります。
嘔吐の症状が長引く場合には、CTZのドパミン受容体遮断薬であるメトクロプラミドの皮下投与で嘔吐を止めることができるとされています。
しかし、本稿執筆現在メトクロプラミド注射薬が品薄で手に入りづらい状況になっておりますので、本剤使用を提案された場合には、拮抗薬の在庫があるかどうか確認した方が良いかもしれません。現在のところ、当院には十分な在庫があります。
お願い
当院では、受診歴がある飼い主様には可能な限り時間外救急対応を行っています。
私一人で対応するので、こういった薬の登場はありがたいです。
しかし、飼い主様が制御できないほど怒る/暴れる場合は点眼も不可能です。そのような場合には、公式に夜間救急を行っている動物病院を受診しましょう。
千葉市緑区おゆみ野・中央区生実町近辺で、異物などの誤食でお困りでしたら、はら動物病院をご利用ください。

