犬の抗てんかん薬の選択肢が増えそう

2015年のACVIM(米国獣医内科学会)のコンセンサスステートメントで、犬のてんかん治療薬として挙げられているのは次の6種類の薬です。
①フェノバルビタール ②臭化カリウム ③プリミドン ④イメピトイン ⑤レベチラセタム ⑥ゾニサミド

この中で、③のプリミドンは①のフェノバルビタールの前駆体で、効果はほぼ変わらず副作用が大きく、実際にはほぼ使われないため、選択肢になるのは5種類となります。
この5種類の中で、動物用や人体用医薬品として日本で入手可能だったのは、フェノバルビタール、臭化カリウム、レベチラセタム、ゾニサミドの4種類でした。イメピトインを使用するには輸入するしかありませんでした。

ACVIMの単剤療法推奨レベルは以下の通りです。
推奨レベルA:フェノバルビタール、イメピトイン
推奨レベルB:臭化カリウム
推奨レベルC:ゾニサミド、レベチラセタム
推奨レベルD:プリミドン

フェノバルビタールが最もエビデンスが豊富で有効性も高いのですが、副作用の多さや他の薬剤代謝への影響が多いことなどから敬遠されがちです。
上記はあくまでも米国獣医内科学会の推奨でして、日本の特に一次診療では第一選択としてゾニサミドが使用されることが多いです。
日本で動物薬として販売されている抗てんかん薬はゾニサミドしかないということも関係していると思います。

日本で動物用抗てんかん薬として販売されている薬はゾニサミドしかありませんでしたが、実はイメピトインもずっと前から承認済みでした。動物薬として承認されてはいるけれども何故か売ってくれない...という状況が長年続いていましたが、状況が変わりそうな気配です。
イメピトイン(ペクシオン)を使用するには今までのところ輸入するしかなく、輸入市場は不安定でした。
いろいろありまして、当院では既に現時点でペクシオンの安定的な処方が可能となっております。

イメピトインは欧州では第一選択薬のひとつであり、副作用が少ない薬ですが、強力な単剤治療薬候補というよりは、軽症例やフェノバルビタールでの副作用を許容できない症例に使用する、もしくは追加薬剤の候補のひとつという印象です。
ただ、抗てんかん薬に対する反応性は症例によって異なりますので、イメピトイン以外の薬剤への反応が悪い場合は追加/変更してみる価値はあります。
抗てんかん薬を内服しているが発作が減らない、ペクシオンを個人輸入していたが買えなくて困っている、輸入薬のペクシオンが保険適応外で負担が重く困っている、という飼い主様がいらっしゃいましたら、はら動物病院までご相談にいらしてください。