高コレステロール血症
動物にも高脂血症はあります。
ありますが、実はその病態はあまりよく分かっておりません。
シュナウザーやシェルティーなど、家族性の高脂血症を起こしうる血統も知られており、著しい高脂血症やそれに伴う病的変化(胆嚢異常など)を認める場合には明らかな治療対象となることがあります。
どちらかというと高中性脂肪血症の方が、明らかな高値であれば問題がありそうなことがわかっており、高コレステロール血症に関しては、それがあるから何の問題があるのかというのを明確に答えられる獣医師はいないと思います。
人では動脈硬化の原因の一つとして重要なのだと思いますが、犬や猫は寿命が短いからか、そういった血管系の内科的異常が極めて少ないです。
ただ、コレステロールというのは、ステロイドホルモンや胆汁酸の原料です。肝・胆道系疾患や副腎疾患、インスリン抵抗性糖尿病などがあって、原疾患の治療もしているのだけれども、いまいち良くならないという場合にはコレステロールを下げるための脂質異常症に対する治療も検討する場合があります。
治療として一般的なのは、
・低脂肪食などの食事療法
・オメガ3脂肪酸の内服
といったところでしょうか。
もう少し踏み込むと、
・スタチン系脂質異常症治療薬の内服
・フィブラート系脂質異常症治療薬の内服(主に中性脂肪を下げる薬だが、コレステロールも多少下がる可能性あり)
というところまでは、広く行われていると思われます。
当院では、上記治療にももちろん対応いたしますが、飼い主様とよく相談した上でご希望があれば、「小腸コレステロールトランスポーター阻害剤」の処方も検討いたします。
著しい高コレステロール血症を伴う肝・胆道系疾患や副腎疾患、治療が上手くいかない糖尿病などでお悩みの飼い主様は、一度はら動物病院にご相談ください。