症状と原因臓器が異なる病態

嘔吐・下痢症状が治らないということでご来院いただいた症例の原因が腹部臓器ではなかった症例のご紹介です。

下痢と嘔吐が続くため他院を受診。
入院点滴治療を行った。少し食事を摂るようになったので、後は内服治療でと言われて退院したが症状が改善していない。

・身体検査
最も基本的かつ大切な検査です。視診/聴診/触診でどこが悪そうなのか確認します。
・血液検査
嘔吐症状は膵炎や腎臓病、肝臓病など血液検査で診断する疾患が原因の場合があります。
・胸部/腹部レントゲン検査
腹部臓器はもちろん、胸腔内の腫瘍などの影響で嘔吐することがあります。
・胸部/腹部エコー検査
レントゲンでは検出できない病変がエコー検査で検出できることがあります。

上記に加えて尿検査を行うことが多いですが、本例はここまでの検査で重大な異常が見つかったため検査しませんでした。

かなりわかりづらい画像で恐縮ですが、本例は「心嚢水の貯留」を認めました。
心臓の外側の膜に液体が貯留することにより、心臓が十分に拍動できなくなって循環不全を生じます。循環不全の影響の出方は症例により様々です。血液がうっ滞することにより消化器症状が出ることもあります。

本例は緊急対応と検査を兼ねて心膜穿刺を行い、心嚢水を抜くことで救急処置を行いました。
その後は二次診療施設をご紹介し、CT検査などの高度な検査・治療を行うこととなりました。

本例は、当院での診察時には心音の微弱を感じたため、身体検査の時点で心嚢水の貯留を疑うことができました。
ただ、前医で診てもらっていた時にはまだそこまでの所見が出ていなかった可能性もあります。特に経過が長く重症である場合や、通常の対症療法に反応しない場合は全身的なスクリーニング検査をしっかり行う必要性を痛感した症例です。

このように、原因不明とされた症状が当院での診察で診断がつく場合があります。
愛犬/愛猫の病的症状が改善せずにお悩みの飼い主様は、はら動物病院までご相談にいらしてください。。