犬の子宮蓄膿症 ※トップに術中/臓器写真が表示されます
犬の子宮蓄膿症は、腹部外科領域の緊急疾患として比較的多い病気です。
アメリカなど、国によってはほぼすべての家庭犬が早期に中性化手術をされているそうで、そのような国では動物病院で子宮蓄膿症を見ることは稀だそうです。
日本でも、多くの飼い主様が早期に中性化手術をご希望されるようになってきているので、かつてよりもこの病気を診る機会は減りました。しかし、まだまだ多い病気の一つです。
子宮蓄膿症が何故多いのか。それは発症率が高いからです。先日受けた米国獣医外科専門医のセミナーによると、未避妊犬の子宮蓄膿症の生涯罹患率はなんと24%だそうです。避妊手術していないと4頭に1頭は子宮蓄膿症になってしまいます。
早期に手術できれば治癒率が高い疾患ですが、長期経過で腎障害を併発している場合などは手術しても亡くなってしまうこともあります。
当院では、ご家庭での繁殖は推奨しないですし、繁殖させないのであれば早期に避妊手術をした方が良いと考えています。
乳歯から永久歯に生え変わったくらいの時期に、乳歯抜歯と同時の避妊/去勢手術を行っています。
病気になってからハイリスクな手術をするよりも、若齢時に予防的に手術を行うことをおすすめしています。
わんちゃんで、未避妊の女の子で発情出血が一旦終わった後の体調不良は子宮蓄膿症の可能性が高いです。経過が長くなると救命率が下がりますので、特にその時期の体調不良は様子を見ずに動物病院を受診しましょう。