犬の巨大食道症
巨大食道症という病気があります。比較的稀な疾患だと思います。
食道の正常な動きが失われて拡張し、飲み込んだ食べ物が胃までなかなか入ってくれなくなる病気です。
教科書的には様々な原因があり得ることになっておりますが、特発性75%、重症筋無力症25%の2タイプの発生しかなかったという報告もあります。
近年まで特発性は原因不明で治療法も存在しないと考えられており、テーブルフィーディングなどで重力によって胃まで食べ物が落ちるような姿勢で食事をとらせたり、食事の形状の工夫(液状、ミートボール状など)で対処するしかないとされておりました。
しかし、特発性と考えられていた病態の多くが「食道アカラシア」という疾患だということが徐々に明らかになりつつあります。
食道アカラシアは、内服薬で改善することがあります。
全ての巨大食道症の症状改善をお約束できるわけではありませんが、巨大食道症でお困りの飼い主様がいらっしゃいましたらご相談ください。
※猫の巨大食道症で検索されて当ブログにたどり着いている方がいらっしゃるようですが、猫の巨大食道症で特発性は極めてまれです。鼻咽頭狭窄などの閉塞性疾患が原因として存在することがほとんどです。鼻咽頭狭窄の診断・治療にはCTや内視鏡が必要なため、当院では解決できません。千葉シーサイド動物医療センターさんなど、「動物医療センター」レベルの動物病院にかかられることをおすすめいたします。
猫の巨大結腸症に関してはこちらです。