こんな病気の診察をしています その3 脾臓腫瘍
確定診断していないので、正しい表現では脾臓腫瘤ですかね。脾臓なので腫瘤が大きくても結節性過形成という可能性もゼロではないかもしれないです。
本例は、予防接種にいらした症例です。身体検査で腹部腫瘤が触知されエコーで脾臓に腫瘤があることがわかりました。
年齢やその他の併発疾患の状態にもよりますが、身体検査で触れるほど巨大化しているとなかなか治療は厳しくなります。
しかし、緩和的にできることもありますし、瘦せてきた原因がはっきりしたのは良かったかなと思いました。
身体検査は大事ですね。聴診、体表リンパ節・腹部触診は常にしっかりやっているつもりではありますが、そういえば肛門のう腺癌は見逃しがちかもしれないと、これを書きながら自戒しています。予防接種やフィラリア検査でのご来院でも全身の身体検査を心がけてまいります。
ただ、身体検査で触知できるほど大きくなった腫瘍性疾患の治療は厳しいことが多いです。
動物医療では統計学的に検診での過剰診断を検討できないので厳密には難しいところですが、基本的には早期発見・早期治療のため健診・検診を行うしかないかと思います。
早期の脾臓腫瘤の発見にはエコー検査が有用です。レントゲン検査では難しいです。
今年は通年で秋冬健診を行っております。秋冬じゃなくなってしまうのですが、最初にそういう名前にしてしまったので...
血液検査だけでなく、レントゲンやエコー検査も行う健康診断を春~夏に行いたいという飼い主様は是非当院をご利用ください。
上記のエコー画像の症例は飼い主様とご相談の結果、手術をしない選択となりましたが、当院では脾臓の摘出手術も行っています。
以下は別の症例で、当院で摘出した脾臓腫瘍です。
術前に肝臓への播種・転移の確認のためのCT検査まで行いたいという場合は他院をご紹介いたしますが、例え転移があっても脾臓破裂による腹腔内出血からの出血多量死を防ぐには切除するしかありませんので、飼い主様の同意があれば当院でも脾臓摘出を行っています。