フィラリア抗原検査から予防薬内服までは
最長でも1か月

フィラリア予防薬は、フィラリア抗原検査を行ってすぐに内服することが理想的です。
しかしながら、5月の投薬開始に合わせて5月中に全頭検査というのは現実的ではありません。
そこで、それぞれの動物病院が動物への安全と飼い主様の利便性(診察の待ち時間や駐車場の台数には限りがあることなど)を天秤にかけて方針を決めていると思います。
以下は当院の方針であって、これが正しいということはありません。
あくまでも当院の方針のご案内です。

当院では、春の混雑を避けたい方には冬場の閑散期にフィラリア抗原検査を行い、通年予防を行うことを推奨しております。
フィラリア予防薬はその年の投薬開始前に検査を行うことが推奨されていますが、年間を通して毎月フィラリア予防薬の投与を行う場合、切れ目がないので投与開始月というのがありません。
当院では、通年投与でも年に1回はフィラリア抗原検査をおすすめしておりますが、いつでも構いません。春である必要はありません。
1~2月の閑散期にご来院いただけると、診察の待ち時間が長くなることは少ないと思います。(ただし、直前に重症例の診察があるなどで閑散期でも待ち時間が長くなることはあります。)

通年予防は1年間駆虫薬の血中濃度を保つ注射薬というのもありますが、安全性の観点から当院では導入しておりません。
当院での通年予防は毎月投与です。例年11~2月にキャンペーンをしており、割高になりすぎないように配慮しています。

本稿執筆現在、千葉県でのフィラリア予防薬の投与は、基本的には5月からで問題ありません。
わんちゃんがフィラリア症になるには、蚊の体内でフィラリアの子虫が発育した状態で吸血される必要があります。蚊の体内でのフィラリア子虫の発育には一定以上の気温が必要です。
この気温の計算値をHDUと言います。
2025年のHDUに基づくフィラリア症の感染期間の理論値はこちらです。
このデータによると2025年の千葉での最も早い感染日は5/6で、最も遅い感染日は11/5だったということになります。

理論的には感染開始の1か月後から予防(駆虫)開始で良いわけですが、あくまで理論値ですからある程度余裕を持って予防することが大切です。当院では、5月から12月まで1か月間隔でのフィラリア症予防薬内服をおすすめしております。

5月からフィラリア予防薬を与えるのであれば、フィラリア抗原検査を行うのはどんなに早くても4月になってからです。
3月では早すぎると当院では考えています。

様々な動物病院ブログで、前年の感染の有無を確認するためには検査の時期が遅い方が感度が高まるということが述べられていますが、私は、それはそこまで重要ではないと思います。いつ検査しても検査後すぐにフィラリア予防薬の内服を開始するなら問題ないと思います。

フィラリア抗原検査はフィラリア成虫メスの抗原を検出する検査です。幼虫は検出できません。
検査から長期間経過すると、検査で検出できなかった幼虫が成虫になり、子供の虫(ミクロフィラリア)を大量に産む可能性があります。

そもそも何で検査が必要かというと、フィラリア症予防薬はこのミクロフィラリアを一網打尽にしてしまう可能性があり、いくら小さいとはいえ多量に殺滅してしまうとわんちゃんに重篤な副作用を生じる可能性があるからです。

フィラリア抗原検査(と厳密にはミクロフィラリア検査も併せて実施)から投薬までの期間に関して公の推奨期間は私が調べた限り、直接的に言及している資料はありませんでした。
正しい方法は検査直後に予防薬の投与開始だからです。

ではどうして、はら動物病院では1か月以内としているのか。
それは、フィラリア予防薬が1か月間隔での投薬だからです。

初回の投薬は検査後すぐに内服すべき、というのが正しい方法です。
では2回目の投薬はどうでしょうか。初回投薬直前に検査しても成虫直前の未成熟虫は検出できませんし、フィラリア予防薬では成虫直前の未成熟虫は駆除できません。理論的には2回目投薬時にミクロフィラリア血症になっている可能性があります。
しかし、これまでの予防歴が不明な場合でも2回目投薬の直前の検査は推奨されていません。
つまりフィラリア予防薬は、理論的には最大1か月間に産まれるミクロフィラリアのリスクを許容している薬だと言えます。

厳密には検査から1ヶ月後の内服と、2回目の投薬の状況は違います。しかし状況は似ています。
この考えから、はら動物病院ではフィラリア抗原検査での陰性確認から1か月以内の投薬開始であれば概ね安全であろうと考えています。
逆に、それ以上の待機期間後の投薬開始は安全性が担保できないと考えています。

ここまで述べた理由から当院でのフィアリア予防は以下の方法を推奨しています。

・フィラリア検査
コスト/感度/検査にかかる時間などを総合的に踏まえて、基本的に当院ではフィラリア抗原検査を実施します。
検査の推奨期間は4/1~5/31です。

・フィラリア予防薬投与
フィラリア予防薬の投薬は5月~12月まで毎月1回、ほぼ同じ日に飲ませることを推奨します。

本稿は、千葉県千葉市のはら動物病院のフィラリア予防方針を解説したものです。
地域性や外来数・スタッフ数・駐車場の台数など様々な要因から、それぞれの動物病院がそれぞれの推奨予防プランを策定していると思います。
動物病院によって様々な考え方や方針があると思います。飼い主として自分の動物に責任を持つには、納得できる方針の動物病院を選ぶことが大切だと思います。