犬と猫の膀胱炎の違い

トップ画像は2枚とも犬の膀胱結石のレントゲン写真です。
犬も猫も膀胱炎になります。
女性の方はご自身や周囲の方で膀胱炎を患っている方もいらっしゃることがあり、ヒトの膀胱炎をそのまま動物に当てはめてかんがえていらっしゃることがあります。

猫の特発性膀胱炎は、ヒトの間質性膀胱炎と近いのではないかと考えられており、細菌感染や尿路結石などの明らかな原因を認めないのにも関わらず、血尿や頻尿になることがあります。何らかのストレスの関与が示唆されており、トイレの大きさや砂の種類・置き場所などの環境整備が有効なことも多いです。
なので、例えば来客後など普段と違うストレスイベントの後に血尿があった場合に、「ストレス性かな」と考えるのは、猫の場合には合っているかもしれません。ただし、猫でも当然細菌感染や尿路結石による膀胱炎もありますので、動物病院で診察を受ける必要はあります。

犬の場合はどうでしょうか。
猫やヒトと異なり、基本的には原因不明の膀胱炎はないと考えられています。生き物ですから例外はあるでしょうけれども、私の経験でもほとんど記憶にありません。ほぼ何かしらの原因が見つかります。
ですから、わんちゃんで間歇的に血尿や頻尿があるのに「ストレスかな?」で様子を見てしまうのは非常にかわいそうなことになります。
(※猫なら放置して良いわけではありません!もし特発性膀胱炎だとしても、環境整備やカゼインサプリメントの内服などの対策・治療が必要です。)

愛犬を守ってあげられるのは飼い主さまだけです。頻尿や血尿の症状で動物病院に連れて行く場合は、エコー検査やレントゲン検査などの画像検査と尿検査は必須だと思います。画像を見せてもらって、尿検査結果は報告書をもらって、それをもとに適切な治療がされているかどうか飼い主様が判断する必要があります。
また、膀胱結石は手術で摘出しても再発しやすいです。当院でも手術後に再発している症例がいます。しかし、結石分析の結果をもとに管理を強化することで増大を防ぎ、今のところは再発例はあっても再手術までは至っておりません。それは、経過観察のため尿検査や画像検査を定期的に行うことの重要性をご理解いただいている飼い主様のご協力のたまものです。

特にわんちゃんで、
・血尿や頻尿があるけれどもストレスかなと考えて動物病院を受診していない。
・過去に膀胱結石の摘出をしたが、その後エコーやレントゲンの画像検査を行った記憶がない。
・過去に膀胱結石の摘出をして療法食を食べているが、その後特に検査も治療薬の内服もしていない。(その療法食がu/d以外の場合は特に注意)
といった飼い主様は、信頼できる動物病院への受診を検討しましょう。

近隣の方は、はら動物病院までご相談ください。