外耳炎の第一選択

暑いですね。
日本の高温多湿は凄まじいです。こんなに暑くて湿度も高ければ、アレルギー性皮膚炎や脂漏症など外耳炎を引き起こす主因を持っているわんちゃんは何もケアしなければほぼ確実に外耳炎になりますし、乾燥地域原産で皮脂の分泌が多い犬種は皮膚炎になりますよね。
トップ画像の薬は、それほど新しい薬ではないのですが、導入していない動物病院もあるようですし、飼い主さんは獣医師から勧められない限りは知り得ないことが多いと思いますので、ご紹介します。

これは動物病院で獣医師が耳に入れる点耳薬で、1回投与するだけで4週間後に治療効果が最大化する(徐々に良くなっていく)という薬です。
しばらく薬剤が耳道内に残って改善していくので、この間自宅でのお耳の掃除は不要、というかしてはいけません。
似たような薬で「オスルニア」というのがありまして、こちらは1週間あけて2回投与が必要です。また、配合されているステロイド剤の強度がネプトラよりも弱いこともあって、当院では主にネプトラを使用しています。
前職時代から使っていましたが、これまでは、従来の毎日飼い主様に投与していただく点耳薬を使ってもダメだったら、という第二選択薬として使っていました。薬効的にどう違うのかはよくわかっていないまま使ってしまっていたように思います。

現在は急性期の第一選択薬として考えています。
外耳炎は、耳垢に細菌やマラセチア菌を認めたとしても、白血球を伴うような化膿している状況でない限り、治療に重要なのは抗菌薬/抗真菌ではなく抗炎症薬です。
化膿している場合は、培養検査に基づく抗菌薬の投与が必要です。
化膿していない場合は、強力なステロイド剤をしっかり効かせることが重要です。
人の皮膚外用薬のCMでも言ってますね。「しっかり治そう。早く治そう。フルコートF」ってやつですね。あれもステロイド外用薬です。

動物用の点耳薬で最も強力なステロイド剤はモメタゾンです。これを選択することが大事です。でも、モメタゾン配合の毎日使う点耳薬もあります。実はこれもよく使っておりまして、上手くいくならこれでも良いと思います。
ネプトラがより良いのは、一回点耳量が多いことと、製剤が液状で耳道内にしっかり広がることです。
これにより、しっかり効かせて早く治すことができると考えられています。

慢性外耳炎でお困りで、ネプトラを使用したことがないという飼い主様は、当院までご相談ください。