総合健診(ペットドック)で見つかった病気 ~治療編~

当記事は臓器写真が出てきますので、苦手な方はページを閉じてください。

スタッフの愛犬ゆずちゃんのその後の経過です。
前回の経過観察はこちらです。

前回までの経過で、子宮の液体貯留は増加傾向でした。
その他の所見としては、まだ逆流所見はないものの心臓の僧帽弁の粘液腫様変性が認められ、今後僧帽弁閉鎖不全症があらわれることが予想される状態です。
今後子宮蓄膿症を発症する可能性が高く、かつその時に僧帽弁閉鎖不全症も発症している可能性もあるため、リスクの低い現時点で子宮卵巣全摘出術を行うことになりました。

トップ写真は子宮内の液体です。このような白濁した液体が貯留していました。
液体の鏡検では細菌や炎症細胞は認めませんでした。摘出時点では膿ではなかったため無症状だったようです。
摘出した子宮卵巣はこちらです。

当院では卵巣動静脈はシーリングにより止血して切断するため、体内に異物は残りません。
しかし、子宮体部はシーリングによる熱ダメージでの尿管損傷を防止するためモノフィラメント吸収糸で血管を結紮します。
尿管の近くで熱を発生させるリスクや、縫合糸を残すリスクを鑑みて若齢犬猫の避妊手術は基本的に卵巣摘出術を行っておりますが、今回のように子宮に異常を認める場合は当然子宮も摘出いたします。

ゆずちゃんは今回健診していなければ、次回以降の発情で子宮蓄膿症になっていた可能性が高く、その時には僧帽弁閉鎖不全症も発症していたかもしれません。
早期発見できたことで、リスクの低い早期手術が可能となり手術翌日から自宅で元気にしており食欲も旺盛だそうです。

スタッフ犬以外では、無症状の脾臓腫瘍が見つかり、その子に関しても当院で脾臓摘出手術を行いました。

疾病の早期発見早期治療のため、画像診断を含む健康診断を受けましょう。