フィラリア抗原検査から予防薬内服までは
最長でも1か月

当院では、春の混雑を避けたい方には冬場の閑散期にフィラリア抗原検査を行い、通年予防を行うことを推奨しておりますが、千葉県でのフィラリア予防薬の投与は、基本的には5月からで問題ありません。
わんちゃんがフィラリア症になるには、蚊の体内でフィラリアの子虫が発育する必要があります。それには一定以上の気温が必要になるからです。理論値から計算した予防期間が公開されています。
こちらです。https://filaria.jp/html/hdu/kanto/index.html#chiba
このデータによると千葉での最も早い感染日は5/7で、最も遅い感染日は11/12です。
一般公開はされておりませんが、獣医師向け情報を提供してくれている共立製薬さんのSAC NAVIの2002年~2022年での集計では、千葉でのフィラリア感染の最早日~最遅日は5/4~11/17とされています。

理論的には最速日の1か月後から予防(駆虫)開始で良いわけですが、あくまで理論値ですからある程度余裕を持って予防することが大切です。当院では、5月から12月まで1か月間隔でのフィラリア症予防薬内服をおすすめしております。5月からフィラリア予防薬を与えるのであれば、フィラリア抗原検査を行うのはどんなに早くても4月になってからです。

3月では早すぎます。

様々な動物病院ブログで、前年の感染の有無を確認するためには検査の時期が遅い方が感度が高まるということが述べられていますが、私は、それはそこまで重要ではないと思います。早めに検査したとしても検査から1か月以内に予防薬の投与をはじめるなら問題ないと思います。

フィラリア抗原検査はフィラリア成虫メスの抗原を検出する検査です。幼虫は検出できません。
2ヶ月もあれば検査で検出できなかった幼虫が成虫になり、子供の虫(ミクロフィラリア)を大量に産む可能性があります。

そもそも何で検査が必要かというと、フィラリア症予防薬はこのミクロフィラリアを一網打尽にしてしまう可能性があり、いくら小さいとはいえ多量に殺滅してしまうとわんちゃんに重篤な副作用を生じる可能性があるからです。

つまり、理論的には検査から予防開始までの日数分のミクロフィラリアが産生される可能性があるということになります。
フィラリア症予防薬は基本的に月に1回投与するものなので、1か月分のミクロフィラリアがいる状態での内服までは安全性が高いと考えられます。(あくまで私見です。)しかし、2か月分でも問題ないかどうかは私にはわかりません。わからないので推奨しません。
3月に検査したいのであれば、遅くとも1か月後の4月から予防薬を開始してください。その分のフィラリア予防薬が余計に必要になりますが。

従いまして、当院でのフィラリア抗原検査は基本的に4月1日以降を推奨しております。

予防獣医療に意識の高い飼い主様ほど、早め早めに予防を行っていただく傾向にありますが、早ければいいという問題ではないことがあります。フィラリア症予防に関しては、5月に検査して陰性確認当日から予防薬の投与を開始するのが最も望ましいです。

つまり、あくまでも当院の場合ですが、
・フィラリア症予防は5月検査・5月から内服開始を推奨
・5月からフィラリア症予防薬を内服する前提であれば、フィラリア抗原検査はどんなに早めても4月1日
・3月にフィラリア抗原検査を行い、5月から予防薬内服は危険なので推奨しない
というのが当院の立場です。

ただ、そうはいっても春の混雑は避けたいな、という飼い主様は現在の閑散期に通年予防を開始されるのはいかがでしょうか。
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