腸活 アトピー性皮膚炎の治療

寒いですね。
でも、わんちゃんにとっては良い季節ですね。お外でたくさん走っても熱中症のリスクは極めて低いですし、アレルゲンの飛散が少なく皮膚の痒みも落ち着く季節です。

皮膚科診療に関しては、FINAL ANSWER ACADEMYなどで学びを深め、犬アトピー性皮膚炎を中心に情報更新を欠かさないようにしておりますが、あれがいいこれがいいというのがいっぱいありすぎてですね、全部やろうとすると非常に煩雑で高額になってしまいますね...そこが悩みどころです。
犬アトピー性皮膚炎の治療は3本柱で考えます。1.かゆみ・炎症の治療 2.皮膚バリア異常の治療 3.免疫異常体質への治療 です。

1.かゆみ・炎症の治療
これはお薬ですね。ステロイド剤、オクラシチニブ(アポキル)、シクロスポリン(アトピカ)、ロキベトマブ(サイトポイント)が代表的な薬です。外用薬も併用することが多いです。
ここは比較的整理できているつもりです。この状態ならこの薬が良いとか、より良いのだけれども治療継続の費用負担が難しい場合はこうとか、様々対応できると思います。

2.皮膚バリア異常の治療
これは難しいです。
シャンプーも保湿時も無数にありまして、新しいのは出てくるし、前にあったものはなくなるし、全部試せるわけじゃないし...
外用剤も2剤・3剤となると面倒ですし、なかなかこれ!というものがないのですが、何か1個だけ保湿をやるならセラミド系が良さそうです。シャンプーは状況次第ですかね。
その他に体の中から保湿力を高めるためにオメガ脂肪酸の内服を行うこともあります。

3.免疫異常の治療
そもそもの免疫異常にアプローチしようというもので、唯一の原因特異的治療は減感作療法ですね。ただ、これはヒトだと3~5年、ワンちゃんでも1~2年はやりましょうという気の長い話の治療で、若齢犬でかつ飼い主様の根気が必要で実際にはなかなか難しいです。

それ以外だと最近流行りなのは腸活です。腸内細菌叢の状態を整えてあげることで、制御性T細胞の働きが活発になり免疫暴走状態のアトピー体質の改善につながるというものです。ただ、腸内細菌叢の状態は幼若期に固定されてしまっており、一定期間の腸活で終了できるものではなく、効果がある場合も続けることが必要です。ヒトがヤクルトを飲み続けるような感じです。

ある種のオリゴ糖と乳酸菌の相乗効果で良い状態になるということもわかっていて、当院では皮膚科専門医の先生が開発されたサプリメントを置いています。FINAL ANSWER NO.1というものです。難点はちょっとお高いんですね。小型犬なら1~2か月分にはなりますが、一袋¥5,000を少し超えるくらいなので、気軽にお試しするにはちょっと...という方が多い気がします。
生菌(プロバイオティクス)もしくは菌体抽出物や死菌(バイオジェニックス)と、オリゴ糖など(プレバイオティクス)を同時に内服するシンバイオティクスの方が、単独よりもより良いのではないかと言われておりますので、可能ならFINAL ANSWER NO.1をお試しいただけると良いとは思いますが、、、

少額で試したいという場合はオリゴ糖のみ(プレバイオティクス)で腸活してみるのはどうでしょうか。小型犬なら1か月¥1,000程度でお試しいただけると思います。

論文では12週間の投与で善玉菌の増加を認めたというものがありますので、3か月程度で効果判定していただくのが良いかと思います。便がゆるくなることもあるので、同じ体重でも投与量調節が必要です。価格は投与量次第で変動します。

皮膚の痒みに対してオリゴ糖での腸活を試してみたいという犬の飼い主さまは、はら動物病院までご相談ください。
オリゴ糖なら何でも良いというわけではありませんので、動物へ腸活サプリメントを与える場合は動物病院に相談しましょう。