今から始める、夏の皮膚トラブル・耳トラブル予防

毎年、夏場に皮膚や耳のトラブルでお悩みの方は、お早めに当院へご相談ください。
今年は痒みの少ない快適な夏を過ごせるように、早めに動物病院を受診しましょう。

理由は大きく3つあると考えています。
①アレルゲンの増加
アレルギー性皮膚炎の原因となる、ヤケヒョウダニやコナヒョウダニ、タンポポやホソムギなどのアレルゲンが増加します。6~9月ごろが様々なアレルゲンが全体的に多い季節と言えるでしょう。
②高温多湿による細菌の繁殖
正常な皮膚には常在細菌叢が形成されておりますので、高温多湿で皮膚トラブルの原因となるブドウ球菌だけが増えやすいとは言えないと思いますが、細菌感染が起こりやすい環境ではあります。
③高温による痒み感受性の亢進
皮膚の血流量が増えたり、神経の感受性が高まることで痒みを感じやすくなり、掻いてしまうことで皮膚が傷つき更なる炎症を招きます。

その方法は推奨できません。
酷くなってしまうと、必要な検査が増えてその分費用がかかりますし、寛解までの時間もかかります。また、軽症段階であれば使う必要のない薬が必要になり、副作用の心配などが発生します。
毎年夏に皮膚が痒くなるのであれば、まだ軽度な今のうちに動物病院を受診した方が良いです。

アレルギーの治療です。
高温多湿でも、健康なら月に1回程度のシャンプーでも皮膚トラブルを起こさない子も多いのです。毎年夏に皮膚・耳トラブルを起こすのであれば、何らか基礎疾患を持っていることが多く、ほとんどの場合はアレルギーであると言われています。
犬アトピー性皮膚炎では、炎症を起こしていない部分の皮膚も皮膚バリア異常があるとされています。赤みがなくてもアレルゲン物質が皮膚の中に侵入しやすいですし、常在細菌のバランスも崩れており、細菌感染を生じやすいです。
痒みが合って搔いてしまうと、細菌が繁殖して白血球が反応し、湿疹ができて皮膚が肥厚して...と、どんどん悪化していきます。
皮膚の状態が正常に近い早めの段階で、かゆみ止めや保湿などで皮膚の状態を正常に近い状態に保つことが大切です。
軽度な状態であれば、適切なシャンプー・保湿などの外用と、副作用がほとんどないアポキルやサイトポイントなどの体に優しい治療で済むことが多いです。

既に皮膚の湿疹や肥厚、耳の赤みが腫れ・臭いが酷くなっている場合は、細菌感染に対する検査・治療が必要になることが多いです。
原因菌特定のための細菌培養・薬剤感受性検査、その結果に基づく抗生剤の内服・外用、皮膚の変化が著しい場合にはストロイド剤の内服・外用などで、皮膚を正常に近い状態に導き、その後はアレルギー治療の継続となります。
しかし、高温多湿環境で既に悪化した皮膚や耳の治療は治療反応が悪いこともしばしばあり、急性期治療が長引くこともあります。

一時的な掻爬による外傷や不適切なシャンプーによる肌荒れ等で、一時的な治療のみで終了できる場合もありますが、夏場の皮膚や耳のトラブルは、アレルギー疾患であることがほとんどで、継続治療が必要となると考えましょう。
寒い季節はまったく問題ない場合は、冬はお薬を完全に休薬できることもありますが、また夏になれば同じことが起きます。
人でも花粉症の方は、花粉症シーズンの前から対策を始めますよね。犬の夏場の皮膚病も同じように考えましょう。
人の花粉症も犬のアレルギー性皮膚疾患も、完治は難しいです。しかし、適切なコントロールは可能なことが多いと思います。
つい最近診た子も、まだ軽度な外耳炎でしたので、ご自宅に残っている以前処方した点耳薬の再開とその後の漸減(外用頻度を減らす)のみで良好に維持できそうです。
痒みが顕著でなくても、ちょっと臭いが気になるとか、トリマーさんに皮膚や耳の赤みを指摘された、などの場合には早めに受診をおすすめします。
当院の受診はLINE公式アカウントの下部メニューや、当院ホームページからオンライン受付の上でご来院ください。初診の方でも簡単にご利用いただくことができます。
他院で処方された薬を使うこともできますので、お薬をお持ちの場合には薬剤名がわかる診療明細書などをご持参の上でご来院ください。