成犬・成猫の慢性発咳の吸入治療

犬では慢性気管支炎や気管支軟化症など、猫では喘息などで慢性発咳が起こります。
犬では、心疾患の悪化に伴い発咳が生じることもあると思いますが、それは心臓の治療を行いましょう。
今回は呼吸器疾患での慢性発咳のお話です。

わんちゃんの気管・気管支軟化症では、骨関節炎治療薬のカルトロフェンベットの注射が有効なこともあります。


しかし、慢性気管支炎の場合や猫喘息で有効性が高いのはステロイド剤かと思います。
内服投与が安価で投薬も比較的楽だと思うのですが、ステロイド剤の長期投与は副作用の問題があります。
肝障害や副腎への影響、皮膚被毛への影響など様々な副作用の危険があります。
そのため、人の喘息では吸入剤の使用が一般的ですよね。私自身も咳喘息というもので風邪の後で咳だけがなかなか治らないことが多く、お世話になることがあります。
私は、シムビコートというドライパウダーを処方されることが多く、とてもよく効きます。吸入剤は非常に良く効くのに全身的な副作用はほとんどないので大変良い薬です。


すごく良い薬なのですが、シムビコートは犬猫では使えません。わんちゃんねこちゃんが、治療のためにパウダーを自分で吸い込んでくれることはないからです。
では、どうするか。人でも自分で吸い込んでくれない人たちがいますよね。その人たち向けの治療法が参考になります。

そうです。幼児です。

ドライパウダーを自分で吸入できない幼児のために、スペーサーというものがあります。


スペーサー内に吸入剤を噴霧して吸い込んでもらうのです。
これならどうにか犬猫でも使えそうですね。
ただ、やはり犬猫は小児よりも手ごわいです。絶対無理な子もいると思います。その場合は内服治療するしかないのですが、頑張って試すだけの価値があります。慢性気管支炎や猫喘息は治りません。ですから、悪化を少しでも送らせるための治療をずっと続けるしかありません。その場合に、有効性が非常に高く、かつ副作用もほとんどないというのは大変有用です。

当院では、トップ画像の犬猫用スペーサー(小型犬用Dawgと猫用Katは名前が違うだけで同じもの)に、喘息の方にはおなじみのフルタイド100を用いて1日2回7-10呼吸していただくようにしています。動物病院によっては50μgから開始するところもあるようですが、当院では最初から100μg製剤を使用しています。


動物のお顔にマスクをつけるのは嫌がることも多いのですが、ちゅーるをマスクに少量つけたり、舐めさせながらながら慣らすなどしてどうにか治療できるようにしていきます。
それでもどうしても無理な子(噛みついてくるなど)もいるとは思いますが、もし吸入治療が可能であれば内服よりも安全で効果も高いことが多いです。

呼吸器疾患による犬猫の慢性発咳で、スペーサーを用いた吸入治療をお試しされたい飼い主さまは、はら動物病院までご相談ください。