犬のぶどう・レーズン中毒

犬は、ぶどうやレーズンを食べたことが原因と疑われる急性腎障害の報告が複数あります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16231710/
ぶどうやレーズンを食べてしまった場合は可能なら吐かせることが望ましいです。
猫にも犬と同様に毒性があるのかもしれませんし、そういう解説をしているページもありますが、私が調べた限りでは犬のような論文情報は見つかりませんでした。
よって、以下本稿では犬のぶどう・レーズン中毒について解説します。
ぶどう・レーズン中毒の原因
毒性物質の最有力候補は「酒石酸」だとされています。
断定されているわけではありませんので、今後実は別の物質が原因という話が出てくる可能性はありますが、現在のところは酒石酸が原因の可能性が高いとされています。
食べてしまったどうする?
なるべく早く動物病院に行きましょう。
吸収される前に吐かせるのが基本です。もちろん、その他の異物を食べていないか、催吐処置を行うにあたってリスクが高い状態にないか(意識状態や嚥下が正常なのかなど)を踏まえて催吐処置が可能と獣医師が判断し、リスクに関して飼い主様の同意があれば催吐処置を行います。
催吐処置に使用する薬剤は複数ありますが、当院では現在、動物用医薬品として嘔吐誘発の効能効果の認可を得ている、点眼催吐剤クレボルを使用しています。クレボルは犬用で、猫には効果がありません。
すぐに行けなかった場合はどうする?
例えばチョコレート中毒などは、摂取後3時間以内くらいでないと催吐処置の効果は低いのではないかとも言われます。
当院では摂取後6-8時間以内程度であれば催吐処置を積極的に考慮すると思いますが、比較的早期に胃から小腸に流れてしまうようです。
しかし、ぶどう・レーズンは事情が違います。
摂取後12時間経過しても、吐物中にぶどうやレーズンが含まれることがあると報告されているため、摂取後24時間程度までは積極的に催吐を検討して良いのではないでしょうか。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9303671/
吐けなかった場合はどうする?
催吐剤で吐けない場合、全身麻酔下での胃洗浄や内視鏡での摘出を検討するか、様々な理由からそこまでの積極治療を行わない場合は炭酸カルシウムの内服が候補になります。
炭酸カルシウムが臨床的に有効であるというエビデンスはありませんが、化学的には炭酸カルシウムを経口投与すると、消化管内で酒石酸と反応して難溶性の酒石酸カルシウムとなり、吸収を減らせる可能性があります。
獣医師の皆さんは以下のリンクから一次情報を確認して、用法用量は自己責任で使用してください。
https://avmajournals.avma.org/view/journals/javma/263/12/javma.25.03.0160.xml
ただ、これはまだ仮説程度の話であり、ぶどう・レーズン中毒の解毒薬というわけではありません。ぶどう・レーズンを早期に体外に取り除くことが第一であり、炭酸カルシウムは+αのオプションです。
まとめ
①ぶどう・レーズンは摂取から12時間経過しても吐かせることができるかも
②ぶどう・レーズン中毒は炭酸カルシウムの内服で毒性物質の吸収を低減することができるかも
当院のお近くで犬猫が中毒物質や異物を誤食してしまった場合は、はら動物病院までご相談にいらしてください。

